タイ料理教室で作ったカオマンガイ。おなじみ、タイのチキンライスです。
私はふだん食べるのが遅いので、限りあるレッスンの試食時間で、しかも色々しゃべりながら食べるものだから、いつもすごく焦ってしまう。雰囲気が少しでも伝わるように写真もうまく撮りたいと思うのに、なんとなくピンボケになる。たっぷり3時間とすこし、生徒さんとかこむ食卓は一期一会で本当に楽しい。せめてそのライブ感が伝わればいいなぁ、と思っています。
ベトナム郷土料理のレッスン、7月。
「Nem Nuong/ネム・ヌーン」という、豚すりみの串焼きを作りました。すりみは串を抜きとって、生野菜やハーブ、クルッと巻いて揚げたライスペーパーと一緒に生ライスペーパーで巻き、甘いみそダレにつけて食べます。いろんな食感や味わいがくるまった、ライスペーパーの中は小宇宙。ライスペーパー手巻きは、つくづく好きなベトナム料理です。
うちから徒歩3分の「雨林舎」はのんびりした喫茶店で、月に一度だけバー営業をします。友人でもある本好き店主のご好意で、今月は『ベトナムのごはんとおかず』を宣伝したらいいよと、一夜限りのバーを開かせてもらいました。
時期同じくして、雨林舎さんは11周年。スペシャルな生ビールやカクテルも登場。縁ある呑兵衛たちがいそいそと集まる酒場では、その人らしさがよくわかる。その人だけのよいところを感じたいと思いながら、私は料理を作ったりしゃべったりした。食べたり飲んだりしていれば、お互いにいちばん脱力したところを知っていて、ここぞというときに伝えたり助けたりができると思う。自分が店をするならこういう感じかなぁと、ふと思ったりした夜でした。
ベトナム料理教室で作った、揚げ鶏のっけごはん。
「鶏飯」と呼ばれる料理はアジア各地に数あって、ベトナムでも地域によっていろいろな姿形があります。定番のゆで鶏ではなく、カリッとしたフライドチキンをのせるスタイルは、中部の町・ダナンで食べた皿をヒントにレシピを作りました。
鶏肉と米というシンプルな組み合わせも、そのままほおばったりタレで甘じょっぱくしたり、ごはんにねぎ油を混ぜこんだり、合いの手に野菜や香菜をつまんだり、味の変化は無限大。中国の海南島で生まれた小さな農家料理が、大陸アジアへ渡って、そこここでスタイルを築きながら定着している。共通するおいしさの素は、皿の上に自分で味を作り出す想像力かなぁと思います。
ひと足早い夏休みに、岡山県の蒜山へ。慣れないみっつの台風がきているものだから、山の天候は里以上にのらりくらりと不安定。でも、頂上に届くことより山歩きを楽しむ人たちが一緒だったからか、安心して五感を使いきることができました。
上蒜山、中蒜山、下蒜山、で蒜山三座。縦走の予定は雨に折られ、せめてもと、中蒜山五合目に御座す山の神様に会いに行きました。昨日まで降っていた雨を自慢するかのように、土は靴底にねっちりした感触を主張していたけれど、こんなときこそゆっくり行けばいいのかもしれない。雨音は強く聞こえるのに鳥の声がさえわたり、雨粒は大きいのにあまり当たらずに歩ける。山では樹林が傘になってくれているのだ、と気がつきました。
蒜山は逃げへんからなぁ、また来たらええと山の先輩は言った。勾配が強くぬかるむ下り道は、好きな山紫陽花が支えてくれた。この繊細な色とサイズをたとえる言葉がいまだ見つからないのです。
タイ料理教室で作った牛肉のスパイシーサラダは、ステーキの入ったごちそうサラダ。香ばしい牛肉とシャキシャキの野菜、香り高いハーブが口のなかで渾然一体となり、ステーキだけでは味わえない牛肉のおいしさを発見できます。
サラダは、タイ語で「ヤム」という。ドレッシングの基本はナンプラー、レモン果汁、砂糖、それにたたきつぶしたにんにくや唐辛子、香菜の根などを混ぜ合わせたもの。口に入れてまず軽快な酸味とコクのある甘みが広がって、そのあと舌のうえで踊るような辛さを感じられたら、今日はおいしいヤムができたなぁと思うのでした。
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『ベトナムのごはんとおかず』 アノニマ・スタジオ
ごはんにあう日々のベトナムおかずを中心に、人気の屋台料理やベトナム鍋など全74品。気軽に、でもちょっとでもおいしく、くり返し作りたくなるように。そんな料理を教室のレシピからしぼり、ほとんどいじらず1冊にまとめました。最近少なくなってきた、個人的には大好きな教科書サイズの料理本です。ベトナムを撮り続けるカメラマン、西澤智子さんの写真も見ごたえあります。たくさんの人にベトナム料理の世界が開けますように、と願ってやみません。
全国書店さんにて発売中です。どうぞよろしくお願いします。
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タイ料理教室で作った、鶏肉のマッサマン・カレー。
イスラム圏からタイ南部に伝わり、イスラム料理に起源があるとされる独特のカレーです。長きにわたってタイの風土や食文化に少しずつ寄り添いながら、元祖にはないこの国ならではの味わいが定着しました。シナモンやカルダモンなどのスパイスをたっぷり、辛みはなくココナッツミルクでまろやかに、タマリンドのフルーティな酸味で奥行きを出します。鶏肉で作るのがポピュラーでありつつも、タイ人が作れば豚肉でもおいしくできあがる、そんなうれしいアレンジも。
レッスンでは、同じく南部発祥のパンケーキ、ロティと一緒にいただきます。バターがきいたサクサクと香ばしい生地は、かじればもっちりした食感があとをひく。焼き立てをほおばれるのは手作りならではの特権。食べ終わる頃にはたっぷりと汗をかき、夏向きの体になりました。
蒸し暑い日は梅仕事にうってつけ。毎年そう思いながら、すべすべした青梅をなでます。今年は酒を半分にして、残りで酵素ジュースを漬けました。
うちの梅酒は辛いです。梅1キロに氷砂糖が300gちょい、バカルディというホワイトラム2本で漬けます。凛とした日本の梅がキューバの酒と出会い、ちょっとエキゾチックな気分になって、飲むとリズミカルでぬるい音楽が聞きたくなるみたいな、そういうできあがりが気に入っています。
『ベトナムのごはんとおかず』
生春巻きもフォーもあるけれど、もうちょいグイッと足を踏み入れて、ベトナム人の日常食卓を想像していただければなぁと思って作った、ベトナム料理のレシピ集です。料理教室で教えているレシピをほぼいじらず74品。材料や作り方だけでなく、ベトナムならではの食文化の理屈、調理法のコツなども書き添えました。
6月29日発売。出版元のアノニマ・スタジオHPでお知らせしています。amazonでのご予約も始まったようなので、よろしくお願いします。
皆さんのお手元に届くまで、もうちょっと。最後まで気を抜かずにがんばります。
おととし漬けて、去年はいまいちおいしくないなぁと思って放っておいた梅酒。この初夏になっておそるおそる飲んでみたら、こっくりフルーティになっていて、まるで食後にゆっくり飲みたいワインみたいで驚いた。時間というのは、自分のでも食材のでもない何かの力やなぁとしみじみした。
それでやっぱり、今年も漬けようかなぁと思っているのです。
本日のベトナム料理教室。
生春巻きは、教室を開いたときに初めて教えたメニューのひとつ。いつもきゅっきゅっと巻きながら初心にもどります。
7月レッスンのご予約受付を開始しています。 こちら
先週末のベトナム料理教室では、中部・フエ地方の郷土料理を作りました。
「Banh Khaoi/バイン・コアイ」と呼ばれる米粉のお好み焼きは、フエ名物の庶民派スナック。南部料理の「Banh Xeo/バイン・セオ」と似た姿をしていますが、こちらは手のひらにのるくらいのミニサイズ。パリパリの生地をお箸でくずしてお椀にとり分け、生野菜やハーブをのせ、濃厚なピーナッツみそダレをかけていただきます。油でたっぷりと揚げ焼きにしたお好み焼きも、香りよい野菜をガシガシ混ぜればすっきり爽やかな食後感。
主役だけでは完成しないベトナム料理劇場、奥深いのです。
7月レッスンのご予約受付を開始しました。 こちら
*お席は完売しました。ありがとうございます。
大阪・北浜のエルマーズ・グリーン・カフェで、6月から始まる「夏の朝食」というイベントの料理監修をやります。私のベトナム料理レシピを、カフェスタッフさんたちが再現してくださるという心強いイベントです。 今年で3度目。
バイン・ミー、ベトナム鶏粥ときて、今年はワンプレートのベトナムごはん。軽やかなジャスミンライスと味わうベトナムのお惣菜たちは、休日のブランチにぴったりです。ウェルカムドリンクは甘酸っぱくさわやかなタマリンドジュース、食後には濃厚なココナッツミルクプリンと自家焙煎コーヒー付き。
お問い合わせ、ご予約はエルマーズ・グリーン・カフェへ→ こちら
新刊が発売です。
アジアの食堂のぶっかけごはんを再現、ときには空想食べ歩きしながら、楽しく作った丼レシピ60です。
得意のベトナムやタイ、ラオスあたりはたくさん。
インドやネパール、韓国や中国などのおなじみごはんもあり。果てはウイグル、ブータンまで。アジアは広いのです。
卵や乾物を使った、簡単丼もあります。
私にしては珍しい赤色の表紙が、とても夏らしくてエネルギッシュ。愉快でキャッチーな料理名は編集さんと一緒に楽しくつけました。たくさんの方の手に届きますように、そして料理を少しでも楽しいものに変えますように。書店さんでよろしくお願いします。